ちょうど昼飯時ということもあり、おなかがすいてきた私は食事をしようと東京駅の八重洲地下街に立ち寄った。
今日は暑いしとにかくビールを飲みたいと思い何を食べるか考えた。
暑い日は冷やしらーめんといきたいところだが、和食もいいな。刺身なんかで冷えたビールを一杯というのも最高だ。
そんなことを考えながら歩いていると蕎麦屋が目に入った。
そうだ、たまにはそばもいいな。暑い日に冷たいビールを飲みながらあったかいとろろそばなんてどうだろう?
見ればちょっと細めのグラスではあるがビールもあるらしい。
よし決めた!
そう思いそばダイニングなるその店に入った。
まずは迷わずビールを注文。つづいてとろろそばを頼んだのだが冷たいのしか作れないと言う。
しかたがないので冷たいとろろそばを注文した。
注文時におかれたそば茶をビールが来るまでに一口飲んだ。
って、うまい!
なんていうのか、麦茶の麦の味を濃縮してパワーアップしたかのようなこのお茶はなんといううまさだろう!
麦のこおばしい香りが口いっぱいに広がる。
やがてビールが運ばれてきたのだがハッキリ言ってあんなに飲みたがっていたビールより、ポンと置かれたこのそば茶のほうが断然うまい。
思わず店員にうまいと言うとくすっと笑いながら「またつぎに来ますよ」とのこと。
私が一気に飲み干したのは言うまでもない。
とろろそばが来るまでメニューをなにげなく見ていると冷やしネギそばなるものが目に留まった。
メニューにある写真には器一面を覆い隠すようにネギの輪切りと薬味ネギが青々と覆いつくしている。
ちょっとピリリとした辛さと青臭さのネギが大好きな私は、しまった!こっちを注文すればよかったと思った。
と、そこにとろろそばが運ばれてきた。
見ると量はそんなに多くない。これなら冷やしネギそばも食べられそうだ。しかしとろろそばがうまくなかったら冷やしネギそばにも期待はかけないほうがいい。
そこで私はとりあえずとろろそばを食べてみた。
ちょっと固めで細めのそばはなかなかに美味である。しっかりとした歯ごたえもある。
これならば冷やしネギそばにも期待をかけていいだろう。
また店員がそば茶を注ぎにきてくれたので、私はまだとろろそばを食べ終わってもいないのに冷やしネギそばを注文した。
とろろそばを食べ終わり、一息ついていると問題の冷やしネギそばが運ばれてきた。
見事なまでに一面ネギネギネギである。
と同時にごま油のいい香りがする。
店員がお好みでお使いくださいとラー油を置いていったのでつゆと一緒に器に注ぐ。
ごま油とラー油の香りがネギの香りと合わさり食欲をそそぐ。
箸でざっくりとかき混ぜさっそく口に運ぶ。
うまい!こりゃうますぎる!
ピリ辛で香ばしく、遠慮を知らないほどの量のネギがそばのうまみを何十倍にも引き上げている。
さっきまでたまっていた疲れが一気に吹き飛んでいくようだ。
これで680円だ。安い。安すぎる。
またここに来ることがあったら必ず食べようと心に誓い私は蕎麦屋をあとにした。
ちなみに店の名前『そばダイニング』とこのピリ辛そばの名前『冷やしネギそば』。
実はうろ覚えである。正確には違うのかもしれない。
冷やしネギそばとそば茶のうまさの余韻に浸りながら歩いていたので確認するのを忘れてしまった。
あとで八重洲地下街のサイトを見てもそばダイニングなんて出ていない。そういえば、そばダイニング○○というようになんかついていたような気がする。
でも、まちがいなく夏の暑さを吹き飛ばす一品と言っていいだろう。
それにしてもあのそば茶。あれではビールをおかわりする気がなくなり店的にはどうなのだろう?
あのそば茶テイクアウトしたくなるぐらいうまかった。